佐藤クラシックギター工房訪問記

先日、今私が使っている佐藤クラシックギターの工房へお邪魔してきました。色々とお話を伺ったので備忘録として書いていきます。

佐藤クラシックギター工房訪問記2

私が最初に佐藤クラシックギター工房を訪問し、試奏させて頂いたのは2年程前ですが、一番試奏して、製作者に聞いてみたかったのは、松か杉か?それぞれどんな特徴があるのか?ということでした。

松といってもスプルースと言う場合もあれば、他の名称もある。杉もシダー?米杉?ヒマラヤスギ?いろいろありそれらは全て同じなのか、違うのかを聞いてみました。

以下、表面板に使われる松(スプルース)についておうかがいした内容です。

表面板によく用いられるスプルースは、日本ではマツと呼ばれますが、これは庭木によく使われるあのマツではなく、植物学的には同じマツ科に属す、トウヒ(唐檜)という木で、日本では北海道の一部と本州中部の高山地帯にのみ生育している。

トウヒは世界最大の巨木の一つで、カナダやアラスカでは樹高90m以上になるものもあり、いわゆる日本のマツとは異なる。

ではなぜそのスプルースが、ドイツマツと訳されるのか。スプルース(正しくはマツ科/トウヒ属)は元々北米原産だが、その亜種がヨーロッパにあり、それがオウシュウトウヒと呼ばれ、オウシュウトウヒは、モミの木と区別が困難で、クリスマスツリーにもよく使われ、木目も真っ直ぐ、軽くて加工性がよく、乾燥による収縮も小さく狂いも少ないために、スプルースの代替材として用いられ、ヨーロッパでは最も主要な材木となり、スプルースよりも材料として広く流通し、このオウシュウトウヒがスプルースと呼ばれるようになりました。

つまり亜種が本家より有名になってしまったと言うこと。

日本でも植物学的には、オウシュウトウヒという名称が使われるが、一般的な流通名としてはドイツマツ、ドイツトウヒ、ヨーロッパトウヒなどが使われる。

なぜドイツかは諸説あるが、オウシュウトウヒが一旦ドイツに集積され、そこから出荷されたために、ドイツという名が使われたと考えられる。つまりドイツマツは「ドイツ産のマツ」ではなく、正しくは「ドイツから出荷された、マツ科のスプルースの亜種であるオウシュウトウヒ」ということになる。

現在、日本でギターに使われる材料としては、北米産の本来のスプルースと、ヨーロッパ産のオウシュウトウヒが、多くの場合は区別なくスプルースまたはドイツマツという名称で使われており、区別する場合には、前者をシトカスプルースまたはベイトウヒ(米唐檜)と呼ぶ場合もあるそうです。